2017年2月17日金曜日

あの人の言の葉 松村雪子

 陸軍軍属 松村雪子

 第百四師団司令部副官部所属
 昭和19年1月23日
 中国広東省番禺県秀木橋にて戦死
 名古屋市中区西瓦町出身 23歳


 昭和十九年の決戦態勢に入りまして、こちらも何だかきびしい空気がただよっています。
 国民がいよいよ一丸となる秋が参りましたね。

 先日の臨休の時、野戦病院と陸軍病院を慰問しました。
 内地とちがって野戦病院は看護婦さんも無く、殺風景な男の人ばかりの灰色の感じが致します。

 私達の差し上げるお花をとても嬉しそうに動けない身体を無理にずらせて瞳の中に嬉しさを一杯あらわしていらっしゃる姿には、涙がこぼれます。
 戦地といっても広東は平和そのもので内地より物資も豊富ですので私達も南支へ来てもさほど胸をつくものがありませんが、こうして病院へ行ったりしますと前線の匂いが多分にみなぎっています。
 私達もその内に前線へ慰問に参る予定ですが何れも芸無し猿ですから困って居りましたら、兵隊さんは顔を見るだけで満足だと伺います。